退職の引き継ぎ期間はどれくらい?1か月で終わらせた元編集者の引き継ぎ書と、疲れの正体

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。

後輩が持ってきた企画案を、1ページずつチェックしていました。
掲載は、3か月先の号です。

その号が出るころ、私はもうこの会社にいません。最終出社日は、すでに決まっていました。

自分には、直接関係のない企画。それでも、一切手を抜きませんでした。
ここで手を抜いたら、人として終わりだ。そう思ったからです。

筆者が出版社を辞めたとき、退職を伝えてから最終出社までは約2か月。そのうち引き継ぎにあてられたのは、1か月でした。本当は「最低でも3か月は必要」だと思っていたのに、です。

それでも、引き継ぎに悔いはありません。1か月で引き継ぎを終わらせたやり方と、あの時期の疲れの正体。順番に書いていきます。

この記事でわかること

  • 退職の引き継ぎ期間は、法律上と実際でどれくらい違うか
  • 1か月で終わらせた引き継ぎ書の中身
  • 後任が複数のとき、後任がいないときの考え方
  • 取引先・社外の人への伝え方
  • 引き継ぎ期間のストレスとの向き合い方

退職の引き継ぎ期間はどれくらい必要?

最初に、少しややこしい話をさせてください。「辞められるまでの期間」と「引き継ぎに必要な期間」は別物ということです。

法律上は、申し入れから2週間で辞められる

正社員のように雇用期間の定めがない場合、民法第627条第1項により、退職を申し入れた日から2週間が経つと、雇用は終了します。

ただ、この2週間は「引き継ぎに必要な期間」として決められた数字ではありません。

では、実際の引き継ぎはどれくらいで終わっているのか。

AIを活用した業務改善コンサルティングやシステム開発を提供する株式会社taiziiiが2026年2〜3月に、従業員1,000名以上の企業の管理職200名に行った調査では、引き継ぎの75.0%が1か月未満で完了していました。

一方で、後任が前任者と同じくらいの仕事ができるようになるまでに「3か月以上かかった」「まだ至っていない」と答えた人は、合計58.0%。

引き継ぎそのものは、1か月あれば終わる。でも、後任がひとりで回せるようになるには、3か月以上かかることが多い。そんな実態が見えてきます。

データのポイント

  • 法律上は、退職の申し入れから2週間で雇用が終了する(民法第627条第1項)
  • 引き継ぎの75.0%は、1か月未満で完了している
  • 後任が前任者と同等になるまで「3か月以上」「まだ至らず」は合計58.0%

出典:民法第627条第1項(e-Gov法令検索)/株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の企業の管理職200名・インターネット調査・2026年2〜3月実施)。調査対象は大企業の管理職のため、職場によって実態は異なります。

3か月必要だと思ったのに、実際は1か月だった

当時の筆者は、書籍と雑誌の両方を編集していました。

書籍は、著者との関係ができあがっていて、すぐには手放せない。引き継ぎには、最低でも3か月は必要だと考えていました。

実際は、退職を伝えてから最終出社までが約2か月。そのうち引き継ぎにあてられたのは、1か月です。

残りの1か月は、通常業務でした。辞めると決めたからといって、担当している仕事は止まってくれません。

有給休暇も、ほとんど消化していません。転職活動の面接で少し使えたくらいです。

ちなみに、筆者の「3か月」という感覚は、先ほどの調査にある「後任が同等になるまで3か月以上」という数字と、ちょうど重なります。

足りない分は、残業と「退職後の質問対応」で埋めた

1か月で足りない分は、残業して対応しました。

退職したあとも、聞かれれば答えていました。辞めた会社からの問い合わせにどこまで応じるかは人それぞれです。筆者の場合は「聞かれれば答える」というスタンスでした。

注意

引き継ぎ期間を「最終出社日までの日数」だけで見積もると、足りなくなりがちです。通常業務がどれくらい残るかも含めて、実際に引き継ぎに使える時間を見積もっておきましょう。

悔いが残らない引き継ぎ書の作り方

「完璧な引き継ぎ書」のコツは、書く量よりも、読んでもらう人の数にありました。

Googleスプレッドシートに、4つの項目をまとめた

形式は、Googleスプレッドシート。まとめたのは、次の4つです。

  1. 進行中の企画の進捗状況
  2. 温めている企画案
  3. 各ライターの実力と得意分野
  4. 各媒体の進行上の注意点

目指したのは、誰が読んでも、手に取るようにわかる状態です。

なかでも「ライターの実力と得意分野」は、ふだんは編集者の頭の中にしかない情報です。

先ほどのtaiziiiの調査でも、引き継ぎで困ったことの最多は「マニュアル化されていない暗黙知やノウハウが共有されなかった」(39.5%・複数回答)でした。

作業の手順は、資料に残りやすい。でも「このライターさんは、このテーマに強い」といった情報は、書いておかないと退職と同時に消えてしまいます。

上長だけでなく、若手にも読んでもらった

引き継ぎ書は、上長にチェックしてもらいました。ここまでは、よくある流れです。

筆者はそれに加えて、数人の若手にも読んでもらいました。

仕事の全体像を知っている人は、書かれていない部分を頭の中で補って読めてしまうことがあります。経験の浅い人が読んでわかるなら、誰が読んでもわかるはずです。

疑問点を、すべてつぶしてから渡した

読んでもらって出てきた疑問点は、すべてつぶしました。引き継ぎの業務に、今も悔いはありません。

比較例

  • ❌ 引き継ぎ書を上長だけに確認してもらい、そのまま渡す
  • ⭕️ 上長に加えて若手にも読んでもらい、出てきた疑問点をすべてつぶしてから渡す
  • ❌ 進行中の仕事の手順だけを書く
  • ⭕️ 温めている企画案や、ライターの得意分野・注意点まで書く

後任が複数のとき、後任がいないとき

引き継ぎ先は、いつも1人とは限りません。

書籍と雑誌で、別の人に引き継いだ

筆者の場合、後任は決まっていました。ただし1人ではなく、複数人です。書籍と雑誌で、それぞれ別の人に引き継いでいます。

引き継ぎ先が分かれるときは、「誰に、何を渡すのか」を最初に切り分けておくと、渡し漏れを防ぎやすくなります。

後任がいないときは、上司と「誰に渡すか」を決める

ここは筆者の体験ではないので、一般的な考え方として書きます。

後任が決まらないまま、退職日が近づくこともあります。後任の手配は、基本的には会社側が考えることです。

退職する側にできるのは、上司に「誰に渡せばいいか」を確認すること。決まらない場合でも、引き継ぎ書を上司に渡しておけば、後任が後から決まったときに引き継げます。

取引先・社外の人への伝え方

社外の人には、いつ、どう伝えるか。筆者は「会ったとき」を選びました。

社内で伝えた直後から、現場で一人ひとりに

著者やライターには、社内で退職を伝えた直後から伝え始めました。方法は、現場で会ったときに、一人ひとりに直接です。

「頼りにしていたのに」「寂しくなりますね」。返ってきたのは、そんな言葉でした。みなさん、惜しんでくれました。

「担当が変われば企画が消える」は、思い込みだった

当時は、担当が変われば企画そのものがなくなるのでは、と思っていました。書籍は、著者との関係ができあがっていたからです。

今思えば、そんなことはありません。

「自分がいないと回らない」と感じている人ほど、引き継ぎを重く考えすぎているのかもしれません。

引き継ぎ期間のストレスとの向き合い方

疲れの正体は、仕事の量ではありませんでした。

気持ちは離れているのに、やり切る疲れ

会社への気持ちは、もう離れている。それでも、引き継ぎまでは仕事をやり切らなければならない。

これは、通常の何倍も疲れました。

在職中の転職活動の疲れについては、在職中の転職活動は両立できる?面接日程・有給・気持ちの切り替えにまとめています。

いちばん疲れたのは「自分のいない3か月先」の企画

特に疲れを感じたのは、冒頭の場面です。

後輩が持ってきた、3か月先の企画案のチェック。担当の引き継ぎではなく、自分には直接関係のない企画でした。

「ここで手を抜いたら、人として終わり」

それでも、一切手を抜きませんでした。ここで手を抜いたら、人として終わりだと思ったからです。

辞めていく会社のために、どこまでやるべきか。答えは、人によって違うと思います。

ただ、少なくとも筆者にとっては、その一線が、最後まで仕事をやり切る支えになりました。

引き継ぎ期間を確保するための退職スケジュール

引き継ぎの余裕は、辞めると伝える前の段取りで、ほぼ決まります。

次の職場を決めてから伝える

筆者は、転職活動中に退職を切り出しました。上司からの引き止めもありました。今の私なら、次が決まっていない状況では辞めません。

次が決まっていれば、入社日から逆算して「引き継ぎに何週間使えるか」を計算できます。退職の切り出し方については、退職の切り出し方と、退職理由は本音で言うべきかにまとめています。

入社日は、引き継ぎ期間を見込んで伝える

内定が出て入社日を決めるとき、引き継ぎ期間を見込まずに早い日付を伝えてしまうと、あとで苦しくなります。

通常業務がどれくらい残るか。引き継ぎ書を作って、読んでもらって、直す時間はあるか。そこまで含めて、入社可能日を考えておきたいところです。

転職エージェントを使っていれば、入社日の相談も担当者を通して企業に伝えられます。

300人以上の中から、あなたに合う転職エージェントをご紹介【転職エージェントナビ】

よくある質問

Q. 引き継ぎが終わらないと、辞められませんか?
A. 雇用期間の定めがない場合、法律上は退職の申し入れから2週間で雇用が終了します(民法第627条第1項)。ただ、筆者は引き継ぎが足りない分を残業で補い、退職後も聞かれれば答えていました。会社の就業規則も確認したうえで、できる範囲をやり切るのがおすすめです。

Q. 引き継ぎ期間は、どれくらい見ておけばいいですか?
A. taiziiiの2026年の調査では、引き継ぎの75.0%が1か月未満で完了していました。筆者も引き継ぎにあてたのは1か月ですが、足りない分は残業で埋めています。通常業務がどれくらい残るかも含めて、余裕を持って見積もってください。

Q. 「後任がいない」と言われたら、どうすればいいですか?
A. 筆者は後任が決まっていたので、ここは一般的な考え方です。上司に「誰に渡せばいいか」を確認し、決まらない場合でも引き継ぎ書を上司に渡しておきましょう。書面があれば、後任が後から決まっても引き継げます。

Q. 取引先には、いつ伝えればいいですか?
A. 筆者は、社内で伝えた直後から、現場で会ったときに一人ひとりに直接伝えました。社外に伝えるタイミングは会社によって決まりがある場合もあるので、上司と確認してから動くと安心です。

まとめ:引き継ぎは「期間」より「中身」で悔いが決まる

法律上は、2週間で辞められます。実際の引き継ぎも、多くは1か月未満で終わっています。

筆者も、3か月必要だと思いながら、1か月で引き継ぎを終えました。それでも悔いがないのは、誰が読んでもわかる引き継ぎ書を作り、若手にまで読んでもらって、疑問点をつぶしてから渡したからです。

気持ちが離れた会社で、最後までやり切るのは疲れます。その疲れを少しでも減らすなら、次の職場を決め、引き継ぎ期間を見込んだ入社日から逆算して動くことです。

完全無料で、あなたに合う転職のプロと出会える【転職エージェントナビ】

関連記事


※データ出典:民法第627条第1項(e-Gov法令検索)/株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(2026年2〜3月実施)
本記事は筆者の実体験に基づく個人の感想です。紹介しているサービスのリンク経由でお申し込みいただくと、当方に紹介料が発生する場合があります。サービス選びの際は、必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。

この記事が参考になったら

気になるサービスがあれば、まずは公式サイトで詳細を確認してみてください。各サービスの内容・料金・利用条件は、リンク先でご確認ください

“退職の引き継ぎ期間はどれくらい?1か月で終わらせた元編集者の引き継ぎ書と、疲れの正体” への3件のフィードバック

コメントを残す