異動に納得できない30代へ。退職を決めた「来月から」という一言【信頼が揺らぐ瞬間】

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「来月から、別の部署へ」
「なんで自分が?」

異動の内示を受けて、どうしても納得できない。
でも、会社員である以上、受け入れるしかないのか。
それとも、これを機に転職を考えるべきなのか。

筆者は出版社で働いていたころ、「来月から営業へ」と打診され、1か月ほど悩んだ末に、退職を決めました。振り返ると、納得できなかったのは異動先そのものではなく、「伝え方」と「タイミング」でした。

この記事では、転職6回の筆者の実体験と最新の調査データをもとに、異動に納得できないときの考え方と、受け入れる・交渉する・転職するの判断基準をまとめます。

この記事でわかること

  • 異動をきっかけに転職を考える人は、どれくらいいるのか
  • 「異動に納得できない」の正体
  • 筆者が「来月から営業へ」で会社を辞めた理由
  • 受け入れる・交渉する・転職する、それぞれの判断基準

データで見る:異動をきっかけに、半数以上が転職を考えている

HRBrainが2026年に公表した「人事異動・配置転換に関する意識調査」では、異動を経験した20〜50代の会社員のうち、56.9%が「異動がきっかけで離職・転職を検討した」と答えています。

注目したいのは、不満の中身です。異動を打診されたときの面談が「5分未満で、口頭の説明なし」だった人は、説明不足などのコミュニケーションに不満を感じた割合が40.5%。5分以上の説明があった人(2割台)と比べて、約1.6倍になっていました。

また、過去の面談記録や実績が次の異動に「あまり・まったく引き継がれていない」と感じている人は53.7%。「なぜ自分がこの配置なのか」がわからないまま、異動を告げられている人が多いことがうかがえます。

データのポイント

  • 異動は、転職を考える大きなきっかけになっている
  • 不満の多くは「異動先」より「説明のなさ」から生まれている
  • 「なぜ自分が?」に答えてもらえないと、納得感は生まれにくい

「異動に納得できない」の正体は、4つに分けられる

ひとくちに「納得できない」といっても、中身は人によって違います。
まずは、自分の不満がどれに当てはまるのかを整理してみてください。

  1. 理由が説明されない
    「会社の方針だから」「決まったことだから」で終わり、なぜ自分なのかがわからない
  2. タイミングが強引
    内示から異動までが短く、やりかけの仕事の引き継ぎもままならない
  3. キャリアとつながらない
    これまで積み上げてきた経験が、異動先では活かせそうにない
  4. 生活が変わる
    転勤をともなう、勤務時間が変わるなど、家族や生活への影響が大きい

①と②は「伝え方」の問題、③と④は「中身」の問題です。どちらなのかによって、取るべき行動が変わってきます。

実体験:「来月から営業へ」で、会社への熱量がしぼんだ

面談の時期でもないのに、呼び出された

雑誌編集者として出版社にいたころのことです。面談の時期でもないのに、上司に呼び出されました。

「別のチームへの異動かな」と思いながら話を聞くと、言われたのは「いろいろな現場を知るために、営業も経験してほしい。来月から」。

話は10分ほどでした。その場では「自分一人では決められないので、時間をください」と返すのが精いっぱいでした。

営業を経験すること自体には、それほど抵抗はありませんでした。編集の仕事にとっても、広告や販売の現場を知ることは無駄ではないと思えたからです。

引き継ぎに3か月はかかるのに、「来月から」

引っかかったのは、「来月から」というタイミングでした。

当時は雑誌に加えて、書籍の編集も担当していました。書籍は著者との関係ができあがっていて、すぐに手放せるものではありません。


きちんと引き継ぐなら、最低でも3か月はかかる。それなのに、残された時間は1か月もありませんでした。

「担当が変わったら、この企画自体がなくなってしまうのでは」
当時は、そこまで考えていました。今思えば、そんなことはまったくないのですが。

そのとき頭に浮かんだのは、「自分の仕事は、こんなに軽いものなのか」という思いでした。その瞬間から、会社への熱量が急速にしぼんでいきました。

調査では、説明が5分未満だと不満が増えるという結果が出ていました。
でも筆者の場合、10分話を聞いても納得できませんでした。

時間の長さより、「なぜ今なのか」「今の仕事はどうなるのか」が伝わらなかったことが大きかったのだと思います。

1か月、「自分の仕事に価値はあるのか」と悩んだ

返事を保留してから約1か月、ずっと「自分の仕事は、価値があるのか?」と考えていました。相談したのは、先に会社を辞めていた先輩です。

その終わりごろ、社内の先輩に立ち話で「実は自分も」と切り出し、さらに約1か月後に、直属の上司へ正式に退職を伝えました。
上司に伝えたとき、理由として話したのは「雑誌は斜陽産業で、年収アップにも限界がある」ということでした。

それも嘘ではありません。

ただ、本当のきっかけは、あの「来月から」だったと思います。

異動先が営業だったことより、自分の仕事が尊重されていないと感じたことのほうが、ずっと大きかったのです。

先輩に「実は自分も」と切り出した場面や、引き止められたとき、引き継ぎをどうしたかは、退職の切り出し方と、退職理由は本音で言うべきかにまとめています。

今振り返ると、違う道もあったのかもしれない

大学でジャーナリズムを学び、新聞記者、雑誌編集者と、ずっと「書く・編集する」仕事を続けてきました。その仕事に、こだわっていたところがあったのだと思います。

今、「出版不況」という言葉を聞くたびに、あのとき違う道もあったのではないか、と考えることがあります。大学の同級生や友人は、いろいろな分野で活躍しています。正直に言えば、自分だけが置いてけぼりのように感じる日もあります。

だからこそ伝えたいのは、異動に納得できないとき、「辞めるか、耐えるか」の二択だけで考えないでほしいということです。

自分のこだわりは本当に譲れないものなのか。一度立ち止まって、視野を広げて考えてみる。

そのうえで出した答えなら、残っても、辞めても、納得しやすくなるはずです。

このときの判断については、今の会社に残るか、転職か。迷う30代のための判断基準でも「会社への信頼」という視点で振り返っています。

受け入れる・交渉する・転職する。3つの選択肢

異動に納得できないとき、取れる行動は大きく3つです。

① 受け入れる

  • 向いている人:異動先で新しい経験が積める、期間が決まっている
  • メリット:社内での信頼を保てる。キャリアの幅が広がることもある
  • 注意点:納得できないまま働くと、不満が長引きやすい

② 交渉する

  • 向いている人:理由の説明がない、時期や条件に調整の余地がありそう
  • メリット:異動の理由や期間がわかるだけで、納得できることもある
  • 注意点:感情的に「嫌です」と伝えるだけでは、話が進みにくい

③ 転職する

  • 向いている人:キャリアや生活への影響が大きい、会社への信頼が戻りそうにない
  • メリット:自分が積み上げてきた経験を活かせる場所を選び直せる
  • 注意点:勢いで辞めると、次の職場でも同じ不満を抱えやすい

注意:2024年4月から、会社は労働条件を明示するときに「就業場所・業務の変更の範囲」も示すことが義務づけられました。職種や勤務地を限定する契約になっている場合、異動を断れるケースもあります。まずは自分の労働条件通知書や雇用契約書を確認し、判断に迷うときは、厚生労働省の総合労働相談コーナーなどに相談してください。

判断する前に確かめたい5つのこと

  1. 異動の理由を聞いたか
    「なぜ自分なのか」「何を期待されているのか」。聞いてみたら、思っていた理由と違うこともあります
  2. 期間と、戻る道はあるか
    「2年程度」「本人の希望があれば戻れる」など、先が見えるだけで受け止め方は変わります
  3. 異動先の経験は、自分のキャリアにつながるか
    筆者のように、編集者が営業を知ることは、見方によっては武器になります
  4. 会社への信頼は残っているか
    異動の中身より「扱われ方」が引っかかっているなら、同じことがまた起きないかを考えます
  5. 外に出たら、自分はどう評価されるか
    市場価値を知らないまま判断すると、今の会社を過大評価も過小評価もしやすくなります

5つのうち、4と5はひとりで考えても答えが出にくい部分です。

異動をきっかけにこれまでのキャリアを見直したいなら、転職を前提にせず、キャリアの棚卸しを一緒にしてくれるコーチングサービスを使ってみるのも一つの方法です。

判断がうまくいくパターン・いかないパターン

比較例

  • ❌ 内示を受けたその日に、勢いで「辞めます」と伝える
  • ⭕️ まず異動の理由と期間を聞き、「伝え方」と「中身」のどちらが不満なのかを整理する
  • ❌ 「嫌です」とだけ伝えて、話し合いが平行線になる
  • ⭕️ 「今の仕事の引き継ぎに○か月ほしい」など、具体的な条件で交渉する
  • ❌ 納得できないまま異動し、不満を抱えて働き続ける
  • ⭕️ 受け入れると決めたら、異動先で得たいものを一つ決めておく

「転職する」を選ぶなら、次の職場で同じことが起きないかも確かめておきたいところです。

社内の異動の多さや配属の決まり方は、求人票にはまず書かれていません。

企業の内部事情に詳しい転職エージェントに聞くと、教えてもらえることがあります。

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よくある質問

Q. 異動を断ることはできますか?
A. 就業規則に異動の定めがあり、職種や勤務地を限定する契約でなければ、原則として会社の命令に従う必要があるとされています。

ただし、職種・勤務地限定の契約や、育児・介護などの事情がある場合は、状況が変わることがあります。まずは契約内容を確認し、迷ったら専門の窓口に相談してください。

Q. 異動が理由の転職は、面接で不利になりますか?
A. 伝え方次第ではないでしょうか。「異動が嫌だった」ではなく、「これまでの経験を活かせる環境で働きたい」と、次にやりたいことに言い換えるのがおすすめです。

転職回数が多い人の答え方は面接で「何回目ですか」と聞かれたときの答え方でも解説しています。

Q. 異動してから、しばらく様子を見るのはありですか?
A. ありです。ただ、「半年たっても納得できなければ動く」など、期限を決めておくと、ずるずると不満を抱え続けずにすみます。その間に市場価値を確かめておくと、判断がしやすくなります。

Q. 一度の異動で辞めたくなるのは、甘えでしょうか?
A. 一概にそうとは言えません。筆者も、きっかけは「来月から」の一言でした。大切なのは、その出来事が「会社への信頼」のような根本的な問題を映しているのかどうかを、冷静に見極めることです。

まとめ:異動の「中身」と「伝え方」を分けて考える

異動に納得できないとき、まず考えたいのは、不満が「異動先」にあるのか、「伝え方」にあるのかです。

筆者の場合は、営業という異動先ではなく、「来月から」という伝え方でした。そして、それが会社への信頼を失うきっかけになりました。今振り返ると、違う道もあったのかもしれません。

理由を聞き、期間を確かめ、交渉の余地を探す。「辞めるか、耐えるか」の二択にせず、視野を広げて考える。それでも信頼が戻らないなら、転職を考えるのは自然な選択です。

勢いで決めず、自分が何に引っかかっているのかを言葉にするところから始めてみてはどうでしょうか。

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※データ出典:株式会社HRBrain「人事異動・配置転換に関する意識調査」
本記事は筆者の実体験に基づく個人の感想であり、法的な助言ではありません。紹介しているサービスのリンク経由でお申し込みいただくと、当方に紹介料が発生する場合があります。サービス選びの際は、必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。

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