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帰りの電車で、スマホのAIに打ちこんだ言葉。
「まだ2か月なのに、もう転職ってできる?」
食品メーカーで営業をしている27歳の女性が、入社2か月目の夜に検索した言葉です。今これを読んでいるあなたも、似たような言葉で検索したのかもしれません。
新卒で入った会社を、半年もたたないうちに辞めたくなる。それは、珍しいことではありません。今回は、入社2〜4か月目で「辞めたい」と思った20代の3人に話を聞きました。1人は辞め、1人は残り、1人は今も迷っています。
この記事でわかること
- 新卒1年目で辞める人は、どれくらいいるのか(データ)
- 3人が「辞めたい」と思った、きっかけの場面
- 入社8か月で辞めた人は、面接で短期離職をどう説明したか
- 辞めた・残った・迷っている、3人の分かれ道
データで見る:大卒の新卒、1年目で辞める人は約8人に1人
「3年は続けないと」。よく聞く言葉ですが、実際には3年以内に辞める人は少なくありません。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」では、2022年3月に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に辞めた人は33.8%でした。内訳を見ると、1年目に辞めた人が12.1%と、3年間のうちでいちばん多くなっています。
データのポイント
- 大卒の新卒のうち、約3人に1人が3年以内に辞めている
- 辞める時期は、1年目がいちばん多い(12.1%)
- 「1年目で辞めたい」と思うのは少数派ではない
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年10月公表)
取材した3人
3人とも新卒で入った会社で、早い時期に「辞めたい」と感じています。
今回話を聞いた3人(2026年10月取材)
- Aさん(25歳・男性):IT系SaaS企業の法人営業→入社3か月目で辞めたいと思い、8か月で退職。今は別のIT企業でカスタマーサクセス
- Bさん(27歳・女性):食品メーカーの営業→入社2か月目で辞めたいと思ったが、残って今は入社1年半
- Cさん(24歳・男性):人材サービス会社の法人営業→入社4か月目で辞めたいと思い、入社8か月目の今も迷っている
Aさん(25歳):8か月で辞めて合う仕事を見つけた
研修が終わり、営業に出た月から、一気にきつくなったと言います。
「平日だけで何とかしようと思わないほうがいい」
Aさんが辞めたいと思い始めたのは、入社3か月目。いちばんの理由は、入社前に聞いていた仕事とのギャップでした。
「顧客の課題を聞いて提案する営業、と聞いていたんです。でも実際は新規のテレアポがかなり多くて、数字のプレッシャーも強かった」
決定的だったのは、目標に届かなかった月に、上司から言われた一言です。
「数字が出ていないなら、平日だけで何とかしようと思わないほうがいい、と。休日出勤しろと直接言われたわけではないんですが、ここでずっと働くのは無理かもしれないと思いました」
「会社が合わなかった」では、また辞めると思われる
直属の上司には、営業のやり方が合わないことと、別の部署に興味があることを伝えました。返ってきたのは「まず営業で結果を出してから」。すぐの異動は望めませんでした。
転職活動を始めたのは、入社5か月目。転職サイトとエージェントを使い、12〜13社に応募して、面接まで進んだのは6社ほどだと言います。内定までは2か月ちょっとかかりました。
面接では、短い在籍期間の理由をかなり聞かれたそうです。最初は「会社が合わなかった」と説明していましたが、エージェントから「それだとまた辞めると思われますよ」と言われこのように変えました。
「新規開拓の営業を経験して、自分は契約を取るところより、その後に顧客を支援する仕事のほうが向いていると分かった」
それでも、「うちに入ってもすぐ辞めませんか?」と聞かれたときは、答えに困ったと言います。
怖いのは、短期離職より「焦って辞めること」
今は既存顧客のサポートが中心の仕事で、前より合っていると感じています。日曜の夜に「明日会社に行きたくない」と思うことも、ほぼなくなりました。
ただ、心残りもあります。「もう少し貯金してから辞めてもよかった。賞与の時期なんかも、全然考えていませんでした」。そして、こう続けました。
「短期離職そのものより、焦って辞めることのほうがリスクがあると思います」
Bさん(27歳):担当の先輩が変わって、残った
冒頭の検索をしたのが、Bさんです。
みんなの前で注意された日、初めて転職サイトを見た
辞めたいと思ったのは、入社2か月目。最初についた先輩は、「一度説明したことは聞かないで」というタイプでした。確認してから進めたいBさんは、毎日かなり緊張していたそうです。
取引先に出す資料でミスをした日、みんながいる前で先輩から強く注意されました。その帰りの電車で、初めて転職サイトを開きました。
「会社が嫌なのか、その先輩が嫌なのか」
相談したのは、同期と大学時代の友人です。同期から「私も辞めたいと思ってる」と言われて、少しホッとしました。そして、友人の言葉が今も残っています。
「会社そのものが嫌なのか、その先輩が嫌なのかは分けて考えたほうがいいって言われたんです」
2か月目から5か月目までの約3か月は、気持ちがかなり揺れていました。転職サイトに登録して、実際に求人も見ていたそうです。エージェントにも登録して、一度電話で話しています。ただ、本当に転職すると決めていなかったので、本格的には使いませんでした。
「質問するのが怖くなっている」と、上司に話した
転機は、上司との面談でした。「質問するのが怖くなっている」と正直に話すと、翌月から別の先輩と仕事をすることになったのです。
質問できる先輩ができて、ミスも減りました。毎朝会社に行くのが嫌だった気持ちも、半年ほどで薄れていったそうです。求人を見ていたことで、「今の会社にもいいところはある」と気づいた面もあると言います。
ただ、すべてが解決したわけではありません。会社全体の残業の多さには、今も「このままでいいのかな」と感じています。
次にまた辞めたくなったら、判断の基準は「自分で変えられる問題かどうか」。人間関係なら異動や担当変更で変わるかもしれない。
でも、「制度や働き方が合わず、変わる見込みもないなら、転職を考えるつもりです」とBさんは話します。
「残った人=我慢した人、ではないと思うんです。私は会社に相談して環境が少し変わったから残れた。何も変わっていなかったらたぶん辞めていました」
Cさん(24歳):目標を達成した翌月に、迷い始めた
Cさんの「辞めたい」は、うまくいかなかったときではなく、うまくいったときに始まりました。
「またこれをやるのか」
入社4か月目のころ、Cさんはある月に営業目標を達成しました。
「普通ならうれしいと思うんですけど、翌月になった瞬間に『またこれをやるのか』と思ってしまって。達成できないから嫌なんじゃなくて、この仕事自体が好きじゃないのかもしれないと考えるようになりました」
毎月リセットされ、ゼロから数字を追う。その先の3年後、5年後が、あまりイメージできないと言います。
父は「最低3年」、友人は「若いうちなら」
相談した相手の答えは、真逆でした。父親は「最低でも3年はいたほうがいい」。大学の友人は「若いうちなら転職してもいいんじゃない」。
「だから余計に迷っています(笑)」
Cさんを迷わせているのは、今の会社がひどい職場ではないことです。休みもあるし、人間関係もそこまで悪くない。だから「嫌なら辞めればいい」と言い切れません。
仕事に慣れていないだけなのか、本当に向いていないのか、それがまだわからないのです。
「辞めたい」はあるけれど、「これをやりたい」がない
今は転職サイトに登録して、求人を見たり、自己分析をしたりしています。応募はまだ。会社の先輩にも、一人だけ相談しました。
決めきれない理由を聞くと、Cさんはこう答えました。「今の仕事を辞めたい、はあるけど、これをやりたい、がない。その状態で辞めたら、また同じことになりそうで怖いんです」。給料がなくなる不安も、もちろんあります。
次にやりたい仕事が具体的になり、実際に応募して「行けそうな会社がある」とわかれば、転職に傾く。逆に、今よりいいと思える会社がなければ、もう少し残るかもしれない。Cさんは、そう考えています。
3人の分かれ道:「何が嫌なのか」を分けられたか
3人の話を並べると、共通点が見えてきます。
- 辞めたくなったのは、入社2〜4か月目
研修が終わって実際の仕事が始まったころです - 3人とも、誰かに相談していた
家族、友人、同期、先輩。一人で決めた人はいませんでした - 3人とも、転職サイトは見ていた
辞めた人だけでなく、残った人も、迷っている人もです
分かれ道になったのは、「何が嫌なのか」を分けて考えられたかどうかです。
Aさんは「仕事の中身」が合わず、社内では変えられないとわかって辞めました。
Bさんは「会社」ではなく「先輩」が原因だと分け、上司に相談して環境を変えました。
Cさんは、「仕事が合わない」のか「慣れていないだけ」なのかを、今まさに分けようとしています。
Bさんの言葉を借りれば、「辞めたい=必ず辞めるべき」でも、「3年は絶対続けるべき」でもないのだと思います。
うまくいく動き方・いかない動き方
比較例(3人の話から)
- ❌ 嫌になった勢いで、次を決めずに辞める
- ⭕️ 何が嫌なのか、次は何を変えたいのかを整理してから動く(Aさん)
- ❌ 「会社が嫌」と、ひとまとめにして考える
- ⭕️ 会社・人・仕事の中身のどれが原因かを分けて、変えられるかを考える(Bさん)
- ❌ 面接で「会社が合わなかった」とだけ説明する
- ⭕️ 経験からわかった「向いていること」として説明する(Aさん)
- ❌ 転職を調べることさえ、会社への裏切りだと感じて止める
- ⭕️ 辞めなくても、求人を見るくらいはできると知っておく(Cさん)
取材を終えて:迷っている時間も、むだではない
最後に3人に、「辞めたいと思ったときの自分に、今なら何と言うか」を聞きました。
- Aさん:「辞めても大丈夫。でも焦って明日辞める必要もない」
- Bさん:「今の先輩とずっと働くわけじゃないよ」
- Cさん:「とりあえず転職サイトを見るくらいなら、会社を辞めなくてもできるよ」
Aさんは、当時は0か100かで考えていたと振り返ります。Bさんは、今の環境が永遠に続くような気がしていたと言います。Cさんは、転職を調べること自体が、会社を裏切るように感じていたそうです。
Cさんは、こうも話していました。「僕みたいに半年以上ずっと迷っている人も、結構いるんじゃないかな。すぐに答えを出せないこと自体は、そんなに変なことではないと思っています」
辞める、残る、迷う。どれを選んでも、3人とも「何が嫌なのか」を自分の言葉にしようとしていました。その整理を手伝ってもらえる相手がいると、答えは少し見えやすくなるのだと思います。
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登録から相談まで無料で利用できます。「辞めるかどうか、まだ決めていない」段階で話を聞いてもらうこともできます。
よくある質問
Q. 新卒で半年は、さすがに早すぎますか?
A. 厚生労働省のデータでは、大卒の新卒の12.1%が1年目で辞めています。珍しいことではありません。取材したAさんも8か月で辞めて、別の会社に転職しています。ただし面接では理由をかなり聞かれるので、説明の準備は必要です。
Q. 新卒3か月で辞めたいのは、甘えですか?
A. 取材した3人も、辞めたいと思ったのは入社2〜4か月目でした。大切なのは、それが「慣れていないだけ」なのか、「変えられない問題」なのかを分けて考えることです。Bさんは原因が先輩だと分けて、上司に相談したことで残れました。
Q. 短期離職の理由は、面接でどう説明すればいいですか?
A. 「会社が合わなかった」だけだと、また辞めると思われやすくなります。Aさんは、経験からわかった「自分に向いている仕事」として説明し直しました。前の会社への不満ではなく、次にやりたいことにつなげるのがポイントです。
Q. 辞めるか決めていないのに、転職サイトを見てもいいですか?
A. 問題ありません。取材した3人は、全員が転職サイトを見ていました。Bさんは求人を見たことで、今の会社のよさにも気づいています。
まとめ:辞める前に、「何が嫌なのか」を分けてみる
大卒の新卒の約8人に1人が、1年目で辞めています。新卒で半年、3か月で「辞めたい」と思うのは、特別なことではありません。
8か月で辞めて合う仕事を見つけたAさん。先輩が変わって残ったBさん。今も迷い続けているCさん。3人の答えは違っても、「何が嫌なのか」を分けて考えようとしていた点は同じでした。
辞めても大丈夫。でも、焦って明日辞める必要もない。Aさんのこの言葉が、今の答えだと思います。
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※データ出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
本記事の取材内容は、2026年10月に3人から聞いた話をもとにしています。年齢・業界・職種以外の個人が特定される情報は伏せています。紹介しているサービスは筆者が選んだもので、取材した3人の利用とは関係ありません。紹介しているサービスのリンク経由でお申し込みいただくと、当方に紹介料が発生する場合があります。サービス選びの際は、必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。

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