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後任が決まっていないと、誰に何を渡せばよいのか迷います。
この記事では、大手転職エージェントの現役コンサルタント・Aさんの監修のもと、上司への確認事項と、未処理の仕事を含めて残す情報を整理します。後任が未定でも、受け取り先の確認と、残す情報の準備は進められます。一方で、雇用契約の種類や退職日などの条件は、引き継ぎとは分けて確認する必要があります。
監修の対象は、引き継ぎや退職日調整などの実務上の進め方です。退職に関する制度は、厚生労働省の資料をもとに説明します。個別のトラブルや契約ごとの判断は、公的な相談窓口で確認してください。
まず退職日と引き継ぎの受け取り先を確認する
引き継ぎの準備を始める前に、退職の条件を確認します。
契約と退職日を確認する
確認するのは、次の4つです。
- 雇用契約に期間の定めがあるか(無期か、有期か)
- 就業規則に、退職の申し出の時期や手続きが書かれているか
- 会社と合意している退職日と最終出社日
- 引き継ぎに使える時間と、通常の業務との配分
退職の仕組みは、契約によって違います。期間の定めのない雇用では、退職を申し入れてから原則2週間で契約が終了すると、厚生労働省の「労働者の退職」で説明されています。これは本人の申し入れによる退職の話で、会社と話し合って決める合意退職とは区別されます。
期間の定めのある契約では、会社と合意して契約を終了する場合を除き、契約途中の退職には原則としてやむを得ない事由が必要だと、厚生労働省の解説にあります。1年を超える契約には一定の条件のもとで特則もあります。まず契約書で期間を確認し、当てはまる制度がわからなければ、後で紹介する公的窓口で相談してください。
受け取り先は、上司に判断を求める
後任が決まっていないとき、辞める本人が「誰に渡すか」を一人で決める必要はありません。上司に、次の4つの判断を求めます。
- 受け取る人:後任が決まるまでの暫定の受領者はだれか
- 優先順位:退職日までに、どの業務から渡すか
- 保存先:資料を、どの場所・どの形式で残すか
- 説明の時間:受け取る人に説明する時間を、いつ確保するか
リクルートエージェントの引き継ぎの解説でも、後任が決まっていない場合は、業務の一覧を作り、止まったときの影響が大きい業務から、上司やチームと決めた暫定の担当者へ渡す進め方が紹介されています。影響の小さい業務は、続けるかどうかを上司に判断してもらう形です。
マイナビのtameniでも、誰に、何を、いつまでに引き継ぐかを先に決めること、他部署に分ける場合もあることが説明されています。
上司には、例えば次のように確認できます。
確認文の例
「後任が未定のため、引き継ぎ資料の受け取り先と、退職日までに優先する業務を確認させてください。進行中の業務と未処理の項目を一覧にして共有します」
受け取り先と優先順位を確認するとともに、自分が準備する資料も伝えます。退職の切り出し方そのものは、退職の切り出し方の記事にまとめています。
後任がいなくても残せる引き継ぎ情報
後任がいなくても、いまの仕事の状態を一覧にしておけば、受け取った人が動き出せます。進み具合の記録だけでなく、未処理の仕事や、承認待ちの仕事もそのまま書くのが基本です。
3列の一覧にまとめる
仕事ごとに、現在の状態と次に必要な対応を一覧にします。
| 仕事・案件 | 現在地と次にすること | 期限・関係者・資料の場所 |
|---|---|---|
| A社への見積もり(架空の例) | 社内承認待ち。承認後に送付 | ○月○日、営業部○○、社内共有フォルダ |
仕事ごとに1行を作り、定期的な業務は頻度も書き添えると、受け取る人が見通しを持てます。
パスワードや資料の扱いは、会社のルールに沿う
業務で使うシステムやフォルダの権限は、会社のルールに沿って、上司や管理者に移管を依頼します。ミーツキャリアの引き継ぎの解説でも、アカウントの発行や権限の整理が確認事項として挙げられています。
パスワードを一覧に書く、会社の資料を私用のメールに送る、個人のクラウドに持ち出す、といったことは勧められません。保存先は、会社が認めた場所にします。
締切だけでなく、判断に必要な背景も残す
私の場合は後任が決まっていましたが、資料に何を残したかは、後任がいない場合にも参考になると考えています。
私は退職するとき、複数の人に引き継ぎました。書籍と雑誌で、担当する人が別々でした。引き継ぎの資料は、Googleスプレッドシートにまとめています。載せたのは、進行中の企画の進捗、温めている企画案、ライターの実力と得意分野、注意点です。
締切だけがわかっても、受け取った人は判断に迷います。なぜその企画を温めているのか、このライターには何を頼みやすく、何に注意が必要か。判断に必要な背景まで残しておくと、受け取る人が自分で次の一手を考えられます。
もうひとつ、上司だけでなく、若手の数人にも、資料を見てもらいました。書いた本人には当たり前のことが、読む人には説明不足になっていることがあるからです。疑問点を出してもらい、つぶしていきました。
資料が分かりやすいかどうかは、書いた本人には判断しにくいものです。上司や、仕事の近い人に読んでもらい、わからない点を聞いておくと、受け取る人の手間が減ります。期間や進め方については、退職の引き継ぎ期間はどれくらい?の記事に書いています。
最終出社までに渡したもの・残ったものを共有する
引き継ぎの終わりが近づいたら、資料を渡して終わりにせず、現在の状態を共有しておきます。社内で認められた方法(メールや社内のチャットなど)で、次の内容を残してください。
- 共有した相手と日付
- 資料の場所と、最新の版がどれか
- 口頭で説明した事項
- まだ終わっていない仕事
- 上司や会社に、判断を依頼している点
こうした記録は、引き継ぎの内容を、後からだれが見ても確認できる状態にするためのものです。
最終出社の時点で、後任が決まっていないこともあります。その場合は、上司や人事に、資料を受け取る人と、未処理の仕事の扱いを相談します。「退職日までに終わらなかった分は、だれがいつまでに判断するのか」を、決めてもらうのが目的です。
退職後の問い合わせに対応する場合は、連絡の窓口、対応できる内容や期間、必要に応じた条件を事前に相談しておきます。私的な連絡先の提供や、期限を決めない無償対応を前提にせず、対応できる範囲を伝えておきましょう。
残った有給休暇の扱いは、退職日との関係を別に確認します。厚生労働省の年次有給休暇の解説では、退職日より後に時季を変更することはできないと説明されています。引き継ぎのために有給をあきらめる、退職日を延ばす、といったことが当たり前になるわけではありません。
退職の延期を求められたら、次の入社日も含めて確認する
「後任が決まるまで退職を延ばしてほしい」と言われたら、延期に応じるか判断する前に、会社が求める期間と理由を確認します。次の入社日が決まっている場合は、その予定を伝えたうえで、現在の退職日までに渡せる業務と残る業務を整理して話し合います。
入社日の変更を検討する場合は、現職との話し合いだけで決めず、内定先や担当エージェントにも早めに相談しましょう。内定先が変更できるか確認したうえで、退職日と入社日を調整します。
退職の話が進まないときは公的窓口も使う
引き継ぎの相手が決まらないことと、退職そのものが認められないことは、別の問題です。
退職の申し入れを受け取ってもらえない、退職日が決まらないといったときは、いつ、だれに、どのように申し出たかを、日付とあわせて記録しておきます。マイナビのtameniでも、相談した日や、退職届を出した日、そのときの状況を残す考え方が紹介されています。
無期の契約では、本人の申し入れから原則2週間で契約が終了するとされています。これは、月給や年俸などの報酬の定め方にかかわらないと、厚生労働省の解雇・退職のQ&Aで説明されています。この無期契約の辞職の予告期間を、就業規則だけで延ばすことはできません。有期契約の途中退職や、会社と合意して退職日を決める場合は扱いが異なるため、契約の種類と申し出の内容を整理して相談しましょう。
トラブルの具体的な判断は、公的な窓口に相談できます。厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、労働問題の相談を無料で受け付けています。電話や面談で、自分の契約や会社とのやり取りを伝えて相談できます。
転職エージェントは、退職に関する紛争を解決する窓口ではありません。退職のトラブルと、次の仕事探しは、分けて考えてください。
次の仕事も探している場合
次の職場がまだ決まっていない場合は、引き継ぎと並行して、転職活動の予定も考えておきましょう。求人探しや応募について支援を受けたい人には、自分に合う転職エージェントを紹介してもらう方法があります。
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まとめ:受け取り先と優先順位を決め、読める資料を残す
後任が決まっていなくても、進められることがあります。
まず、退職日と契約の条件を確認し、上司に、暫定の受け取り先と優先順位の判断を求めます。次に、未処理の仕事や承認待ちも含めて、受け取る人が読める資料を、会社のルールに沿って残します。最終出社までには、渡したものと残ったものを、社内の方法で共有しておきます。
退職の話が進まないときや、契約の条件で迷うときは、記録を残したうえで、公的な窓口にも相談してください。

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