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土曜日にオンライン取材を3件。日曜日にその原稿を書き上げる。
月曜日の朝、会社に向かいながら、Bさん(33歳)はふと思ったそうです。
「私、いつ休んだんだろう」
副業が軌道に乗ってくると、頭をよぎるのが「このまま独立できるんじゃないか」。では、何を基準に決めればいいのでしょうか。
副業から独立した2人に話を聞くとともに、なし崩し的にフリーランスになってしまった筆者自身の数字も並べてみました。
この記事でわかること
- ルールを決めて独立した人、感覚で決めた人、なし崩し的だった人の「独立時の数字」
- 独立して1年、収入はどうなったか
- 「副業で稼げた=独立しても大丈夫」ではない理由
- 独立のタイミングを決める4つの目安
3人の「独立したときの数字」
先に、3人の数字を並べておきます。
| Aさん ルールで決めた | Bさん 感覚で決めた | 筆者 なし崩し | |
|---|---|---|---|
| 仕事 | 36歳・男性 Webマーケ→広告運用 | 33歳・女性 採用広報→ライター・編集 | 雑誌編集者→フリーライター |
| 副業の始まり | 32歳。知人の会社のWeb広告(月3万円) | 29歳。クラウドソーシングの記事 | 在職中のアルバイト原稿。週1本・月10万円ほど |
| 独立時の副業収入 | 月30万〜40万円が半年以上 | 本業の手取りの7〜8割の月が続いた | 月20万円ほど |
| 取引先 | 毎月の継続3社 | 半年契約2社 | 3社 |
| 貯金 | 生活費の10か月分 | 生活費の5か月分 | 生活費の2か月分ほど |
| 独立後 | 1年目の売上は年収換算で約1.3倍 | 年間ではほぼ同じ。月によっては半分 | 一時は2倍。柱の取引先が閉鎖 |
取引先の数だけ見ると、Aさんと筆者は同じ3社です。違いが出たのは月収と、副業が何か月続いていたか、そして貯金でした。
データで見る:独立系フリーランスの取引先は「1社」が最多
マイナビの「フリーランスの意識・就業実態調査2025年版」によると、これまでの取引先の数は、独立系フリーランスでは「1社(人)」がいちばん多く、20.6%でした。
また、フリーランスとして軌道に乗ったと感じた時期を聞くと、最も多かった答えは「不明・まだ安定していない」の27.9%です。
注目したいポイント
- 独立したあとも、取引先が1社だけという人がいちばん多い
- 「軌道に乗った」と言い切れない人が、最も多い答えになっている
- 取引先が1社なら、その契約が終わった瞬間に収入はほぼゼロになる
取材した2人がそろって口にしたのも、この「1社に頼る怖さ」でした。
Aさん:3つのルールを、全部クリアしてから辞めた
Aさんは、「最初は独立するつもりはなかったんです」と言います。
夜中まで作業して「ずっとは続けられない」
Webマーケティングの仕事で身につけたスキルが、社外でも通用するのか試したい。32歳で始めた副業は、知人の会社のWeb広告の手伝いで、月3万円ほどでした。会社では副業は届け出制で、直属の上司と人事に申請しています。
平日は本業のあと、21時ごろまで副業。いちばんきつかったのは、本業の大きな締め切りと、副業先へのレポート提出が同じ週に重なったときです。夜中まで作業しながら、「これはずっと続ける働き方ではないな」と思ったそうです。
独立を決める前に決めていた3つのルール
- 副業収入が月30万円以上で、6か月続くこと
- 継続の取引先が3社以上あること
- 生活費6か月分以上の貯金があること
3つ全部をクリアしたら、独立を「検討する」。35歳のとき、副業収入は月30万〜40万円になり、それが半年以上続きました。毎月仕事をくれる取引先も3社。貯金は、最低ラインの6か月分を超えて10か月分を用意しました。
ただ、住宅ローンもあったので、実際に独立するかはかなり迷ったそうです。
「売上より、1社への依存度を見たほうがいい」
相談したのは、妻とすでに独立していた元同僚です。妻の第一声は「今の会社にいながらでもできているなら、そのままでいいんじゃない?」。「かなり現実的な反応ですね」とAさんは笑います。
役に立ったのは、元同僚のこの一言でした。
「売上より1社への依存度を見たほうがいい」
それまでAさんは、月収ばかり見ていたそうです。
1.3倍稼いでも、生活が1.3倍楽になるわけではない
独立して1年目の売上は、年収に換算して会社員時代の約1.3倍。ただ、税金や社会保険、経費を自分で払うので、「1.3倍稼いだから生活も1.3倍楽という感じではありません」と言います。月ごとの波もありました。
計画が甘かったと感じたのは、営業です。副業のころは紹介で仕事が来ていたので、独立しても自然に依頼が来ると思っていたと言います。でも、契約が1社終わり、売上が急に落ちました。そこで初めて、営業は続けなければいけないものだと実感したそうです。
「もし1社だけで月40万円稼いで独立していたら、その契約が終わった瞬間にかなり危なかったと思います」
Bさん:「今ならやれる」と思った半年後に、大口が終わった
Bさんの決め方はAさんよりずっと感覚的でした。
「本業の7割を3か月」だけが目安だった
人材業界で採用広報やオウンドメディアを担当していたBさん。業務で文章を書くことが多く、「これって個人でも仕事になるのかな」と29歳で副業を始めました。給料だけでは、貯金があまり増えなかったことも副業を始めた理由のひとつです。
ちなみに会社は許可制でしたが、最初の数か月はよく分からないまま小さな仕事をしていたそうです。途中で規定を確認して申請しました。「今思うと、最初から確認しておけば良かったですね」。
目安にしていたのは「副業収入が本業の7割を3か月超えたら考える」。32歳のとき、副業収入が本業の手取りの7〜8割になる月が続き、半年契約の仕事を2社からもらえました。「今ならやれるかもしれない」。貯金は生活費の5か月分でした。
母には「せっかく正社員なのに、どうして辞めるの?」とかなり反対されました。フリーランスの友人2人は「いま仕事があるうちに挑戦したほうがいい」。最後は自分で決めたそうです。
「辞めて正解」から、半年で一変
「独立して最初の3か月は、会社員時代より収入が多かったですね」。「辞めて正解だった」とBさんは思ったそうです。
ところが半年ほどたったころ、大きな契約が1つ終わり、売上が一気に落ちました。1年を通すと、収入は会社員時代とほぼ同じ。月によっては、半分くらいのときもありました。
仕事がないときは、休めるどころではなかった
独立前は「ライターなら、ずっと書いているんだろう」と思っていたBさん。実際は、営業、見積もり、請求、メール、打ち合わせと、書く以外の仕事がとても多かったそうです。
そして、誤算だったのは仕事がないときは休めると思っていたのに、逆に不安で休めなかったこと。
貯金については、「いま考えると少なかったですね。最低でも半年、できれば1年分くらいあったほうが安心だったと思います」と振り返ります。
それでも「トータルで見れば独立して良かったです」とBさん。平日の昼間に自分で予定を決められる。自分で生活を組み立てている感じがあるからです。
筆者の場合:3社・月20万円、貯金2か月で飛び出した
2人の話を聞きながら、筆者は自分のときを思い出していました。
週1本・月10万円のアルバイト原稿
出版社で雑誌の編集をしていたころ、在職中にアルバイトで原稿を書いていました。週に1本。企画を立て、取材があれば取材をして、書き上げるまで3〜4時間ほど。収入は月10万円くらいでした。
「最低限はしのげるだろう」
担当していた雑誌の休刊が決まったころには、アルバイト原稿の納品先は3社、月収は20万円ほどに増えていました。「最低限はしのげるだろう」と思って、なし崩し的ににフリーランスになりました。
貯金は、生活費の2か月分くらい。だから、すぐに仕事をしなければなりませんでした。完全に自業自得ですが、自分の看板になる仕事を選ぶ、つまりブランディングなんて言っている場合ではなかったのです。
Aさんのルールに当てはめてみると
取引先3社は、Aさんのルールをクリアしています。でも、月30万円にも、6か月分の貯金にも届いていません。
その後、収入は一時、会社員時代の2倍になりました。ところが柱だった取引先のWebメディアが閉鎖。単価の安い仕事を詰め込むしかなくなり、仕事を断れない日々が続きます(くわしくはフリーランスになって後悔した?に書きました)。
Bさんの「不安で休めなかった」と、筆者の「仕事を断れなかった」は、根っこが同じだと思います。
独立のタイミングは「月収」だけで決めない
筆者を含む3人の数字を並べると、見るべきものは月収だけではないことがわかります。
独立を決める前に確かめたい4つの目安
- その月収が、何か月続いているか
Aさんの目安は「月30万円以上を6か月」。1〜2か月の好調は、たまたまかもしれない - 何社から入っているか(1社への依存度)
いちばん大きい取引先がなくなっても、生活できるか - 仕事がなくても、何か月暮らせるか
Aさん10か月分、Bさん5か月分、筆者2か月分。少なかった2人は、そろって「もっと貯めればよかった」と後悔 - 売上が半分になっても回るか
Bさんは「いまなら、ここまで考えてから辞めますね」と話してくれました
比較例
- ❌ 「今月これだけ稼げた」で独立を決める
- ⭕️ 何か月続いたか、何社から入っているかまで見て決める
- ❌ 独立しても、副業時代と同じように仕事が来ると思っている
- ⭕️ 書く・作る以外に、営業や請求の時間が要ると見込んでおく
- ❌ 「1.3倍稼げば生活も1.3倍楽」と考える
- ⭕️ 税金・社会保険・経費を引いた手取りで比べる
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注意:会社の副業規定は、始める前に確認しておきましょう。Aさんは届け出制で、競合の仕事はしない、本業に支障を出さない、会社の情報を使わない、という条件がありました。Bさんは途中で規定に気づいて申請し、「最初から確認しておけばよ良かった」と話しています。
Aさんは妻と元同僚に、Bさんは母と友人に相談してから決めました。筆者は誰にも相談しませんでした。独立するか、副業のまま続けるか。その迷いを、家族や友人とは別に、第三者と一緒に整理するという選択肢もあります。
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独立の前に、迷いを整理する選択肢のひとつとして、まず無料相談で話を聞いてみるのも手です。
よくある質問
Q. 副業収入がいくらになったら、独立して良いですか?
A. 今回の2人の目安は、Aさんが「月30万円以上を6か月」、Bさんが「本業の7割を3か月」でした。金額そのものより、その収入が何か月続いているか、何社から入っているかを合わせて見るのがおすすめです。
Q. 貯金は、どのくらいあればいいですか?
A. 人それぞれですが、10か月分を用意したAさんに対し、5か月分のBさんは「最低でも半年、できれば1年分」、2か月分だった筆者は「1年〜1年半分」あれば良かったと感じています。
Q. 独立前にやっておいて良かったことは?
A. Aさんは「副業の段階で複数の取引先を持ったこと」と「確定申告を副業時代から経験していたこと」。Bさんは「クラウドソーシングだけでなく、直接取引の顧客を作っていたこと」と「自分の名前で実績を出せる仕事を増やしていたこと」を挙げています。
Q. 家族に反対されたら、どうすればいいですか?
A. Bさんはお母さんに強く反対されましたが、最後は自分で決めました。反対の理由が「収入の不安」なら、今回の4つの目安を数字で説明すると、話し合いの材料になります。家族に反対されたときの見極め方もあわせてどうぞ。
まとめ:「副業で稼げた」は、独立のゴーサインではない
Aさんは最後に、こう話してくれました。
「副業で稼げた=独立しても大丈夫、ではないと思います。勢いより、冷静に数字を見てから決めたほうがいい」
Bさんも、独立前の副業収入がそのまま続くとは考えないほうがいい、と言います。半年後に同じ取引先がいる保証はないからです。
その月収が何か月続いているか。何社から入っているか。仕事がない場合に何か月暮らせるか。売上が半分になっても回るか。「3社・月20万円・貯金2か月」で飛び出した筆者からも、最低限、この4つを確かめてから独立を決めることをおすすめします。
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※取材内容と筆者の体験は個人の感想です。副業の可否は勤務先の規定を、サービスの料金・条件は必ず公式サイトでご確認ください。


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